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HISTORY
1987年にオーストラリア・フリーマントルで行われた大会を境に、世界各国でアメリカズカップへの参加が多くなり、日本でもニッポンチャレンジが立ち上げられた。 1992年大会から、それまでの12mルールに代わり、全く新しい IACCルールが採用され近代的な現在の80フィートの艇が使用されるようになった。巨大なセールプランを持ち、軽いカーボンファイバーとハニカムで造られた船体と重いバルブキールのヨットが大きくヒールして走る。大きく異なる世界であった。 セーラー達にも技術チームにもことごとく新しいことばかりで、部品だけでなく、キール・ラダー、船体各部まで改良されていき、どんどんガラクタの山ができていった。 ニッポンチャレンジは2隻の同型艇を作り、性能改善を続けていたが、91年のワールドカップで惨敗した。結果論だが、新艇種でドラスティックな進歩をすべきところを゙同型艇建造゙という作戦では技術進歩についていけず、大失敗であった。急遽、3号艇を建造することになり、〈JPN26〉が建造され、初出場ながらセミファイナルまで勝ち進んだ。92年はニュージーランド艇のタンデムキールに象徴されるアペンデージの戦いといえる側面もあったシリーズ゙だった。 1995年は、幅が狭くラウンドな船型で抵抗を減らす方向で成功したニュージーランドが勝利し、カップを南半球へ持っていった。 2000年はステム傾斜をキツクして水線長を長くとった船型を上手に走らせたニュージーランドが防衛した。 アメリカズカップに勝つのに、このような1行で書けるような簡単なことではないが、特徴ある形が出ていたのは事実であった。 はて ! 今回は何でしょうか? 技術開発が成功するための必須条件であること言うまでもないことですが、今までの成功を支えていたのは優秀なセーラーでもあった、ということを忘れてはいけないだろう。優秀なヤツラは勝つために、設計に関わることも提案してくるのである。走らせにくい艇であっても、勝てる要素を持った艇であったら、それを採用して、あとはそれをセーラーがうまく走らせて勝つのである。 スイス・チームはどこまでいくのでしょうか。 |
摩天狼 MATENROW KENWOOD CUP 90 総合優勝 DESIGN NO.054 LOA 11.90m BEAM 3.86m Draft 2.26m |
故 杉山直行オーナーと1988年KENWOOD CUPに参戦し、2年かけて90年挑戦準備をした。まず、ツボヰヨットにカーボン・ハニカムのテスト建造に31フィートレーサーを発注した。 新設計〈MATENROW〉はIOR・ONETONクラスとした。゙究極ハワイ仕様゙とはしなかったが、若干強風ヨリの設計となった。ツボヰヨットは特設の加熱室を作り、カーボンファイバー・エポキシ・アラミドハニカム等を駆使して建造にあたった。軽く強固な船体は、バラスト比70%近くに達し、キャビン床下は鉛で埋め尽くされた。 〈MATENROW〉は完成してすぐにハワイに向けて船積みされた。ハワイで待っていたのはNORTH SAILS NZのボス・TOM DODSON率いるKIWI達であった。数回のセーリングを終えて、「イチローこのヨットは速い・・・」と言ってくれた。 レースが始まると、FARR・ONETON集団、50feet集団とのトップ争いの末、最終レースで抜け出し総合優勝!私も数レース乗せていただいた。 クルーメンバーとして参加した中には、その後のAMERICA'CUPで活躍しているエキスパートも数人含まれていた。 |
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MAGICIAN 5 1/4 TON CUP 1978 総合優勝 LOA 7.96m BEAM 3.00m Draft 1.52m |
1978年のコータートンカップ・ワールド選手権は荒天の相模湾で行われた。その数年前から日本のヨット関係者は熱く燃え、数限りない経験をした。何本もマストが折れ、ラダーを失い、ハルにダメージを負った艇、沈没した艇も出た。今もヨット界のあちらこちらにこのレースを戦った戦友が残っている。私が勤務していたヤマハ発動機も2隻のプロト・レーサーを建造して参戦した。 レーシングヨットの形が変わろうとしている時期で、幅が広くスターンも広がり、フラクショナルリグが主流になろうとしていた。ヤマハのチームはその数年前から相模湾のレースに参加しレース分析を始めていたが、このレースを強風向きの艇の開発と相模湾の潮流をどのように乗り切るかという問題を解決しようとしていた。セーラーとしてノースセールから招請したROYとGERY、菊池誠(現ノースセール社長)、ヤマハから箱守康之が乗艇した。 |
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